お前の隣は俺だけのもの。
「九条はどうするつもりだ」



潤が碧に問う。

口を開かない碧。


……そうだよね。

もし、碧に“彼女”っていう存在が出来たら、学校だけじゃない。

世の中が大騒ぎになってしまう。

碧は“芸能人”なのだから。



「秘密にして欲しい!」

「……陽菜」



私は明るい笑顔を作る。

碧にそんな表情をさせたくない。

困らせたくない。


もちろん、『碧の彼女です』って言えることは嬉しいと思う。

だけど、それを言ってしまったらときのリスクが大きすぎる。


だから。



「碧の彼女って言われたら、なにされるか分からないもん」



碧が悲しそうな表情をする。


ごめん、碧。

だけど、分かって欲しい。

私が碧を守りたいってこと……。


重たい空気が流れる。

明るく振舞っているのに、空気が重いって相当だよな……。



「もう、外も暗くなっているから、2人は帰って!」



私は無理やり話を切り上げ、怜央と潤を追い出した。


みんな、ごめんね……。


帰り際、怜央は私に言った。



「なんかあったら、俺たちもいるからさ」

「……ありがとう」



2人を見送ってから、部屋に戻る。

碧はソファに座ったまま、うつむいていた。

そんな碧の隣に座る私。
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