お前の隣は俺だけのもの。
犯人に送る、初めてのメールだ。


件名。

九条 碧の秘密について。

そして、本文のところに動画を貼り付ける。


どうか。

どうか、これで解決しますように。


祈るしかない。

私は無事に全てが終わるように祈りながら、メールを送信した。


ピロリロリン!

メールを送信して数秒後。

文芸部の部室に機械的な音が鳴る。



「あっ。すみません! 私の携帯です」



マナーモードにするのを忘れていました、と、凛ちゃんが言う。



「大丈夫だよ! それより、メール? 見なくて大丈夫?」

「親からかもしれないので、すみません。見てみます」



そう言って凛ちゃんは、携帯を開いた。

凛ちゃんが画面をタップした瞬間。



『陽菜っ!』



碧の声が部室に響く。



「えっ……」



碧はここにいないはずなのに。

なんで、碧の声が?



『ふざけんなっ!』



この碧の言葉は、私が男たちに襲われたときの言葉とまったく一緒だった。

碧の声のするほうへ視線を向ける。


その先には。

凛ちゃんの携帯があった。



「凛ちゃん、その動画……」



携帯から顔を上げる凛ちゃん。

凛ちゃんはあわてた様子で、携帯をポケットにしまう。
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