お前の隣は俺だけのもの。
「教えて」



凛ちゃんは、涙声で話し始めた。



「私っ、九条くんのことが、ずっと好きで! だけど、陽菜さんが現れたと思ったら、九条くんは陽菜さんのことばかり見つめていて!」



凛ちゃんの涙交じりの叫び。

それは痛いほど胸に突き刺さった。



「悔しくて、悔しくて! 誰にも相談できなくて!」

「……凛ちゃん」

「メールを送って2人の仲を壊そうと思った!」



叫ぶ凛ちゃんを私は思い切り抱きしめた。



「だけどっ! 2人の仲を壊すことは出来なかった!」

「凛ちゃん……」



ごめん。

心の中で謝る。

なにも気づけなくてごめん。

私が辛いとき、そばにいつもいてくれた凛ちゃんなのに。

その凛ちゃんの苦しみを、私は気づくことが出来なかった。

……気づこうとしなかった。


ごめん。

心の悲鳴をあらわにする凛ちゃん。

胸が痛くなる。

だけど、凛ちゃんをこんな姿にしてしまったのは、私なんだ……。



「離れてっ!」



凛ちゃんが叫ぶ。



「私に触らないで! 離れて!」

「離れないよっ!」

私も凛ちゃんに向かって叫ぶ。
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