お前の隣は俺だけのもの。
「陽菜のお父さんとお母さんが龍虎の総長だから」



そう言って私の頭に手を置いた。



「約束したんだ。伝統引き継いで、陽菜を大切にするから、って」



碧が私に優しく微笑む。



「そうよぉ。碧くんが中学生の頃かしらね。突然家に来て、総長になりたいって言ったのよ」

「驚いたよなぁ……」

「若い頃の私たちを見ているみたいね」



パパとママの周りにお花が見える……。

これは完全に2人の世界に入ったな。


いつもは怖いパパとママだけど、ちゃんと私のことも考えてくれているんだな、って改めて思った。

それに。

碧が“龍虎”という名にこだわっていた理由は、私のパパとママが“龍虎”の元ダブル総長だったからなのね。

そして、碧自身が総長になって、私を守りたいって言ってくれていたんだ。


……何も知らなかった。

私は碧の手を取る。



「私の部屋、行こう?」



頷く碧の手を引っ張り、2階にある私の部屋に向かう。


部屋は、なにも変わっていなかった。

家を出るときとなにも変わっていなくて、懐かしくて、涙がこぼれそうだった。
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