お前の隣は俺だけのもの。
「ここは、僕の家だから」



碧は天使じゃなくて、まるで悪魔のように笑う。


待って。

どういうこと。

頭の整理が追いつかない。


先ほどまでの可愛い碧と違う。

豹変したかのように笑う碧に、ゾクッとする。



「もう、“可愛い碧”はやめるね」

「っ、」



私はその場に立ちすくんだまま、何も言えなくなる。

ふわふわの可愛い碧は目の前にいなくて。



「ここは、俺の家。陽菜は居候ってこと」



悪魔化した碧はにやりと笑う。


一人称が“僕”から“俺”に変わっているし。

私の名前を呼び捨てにするし。

今までの碧はどこにいっちゃったの!?



「ちょっと待って! パパとママは家を用意してくれたって、手紙に……」

「ああ、手紙? 俺のところにも届いたんだよね」



碧はズボンのポケットから封筒を取り出す。

それは私に宛てられた封筒と同じもので。

私はその手紙を碧から奪う。


封筒から便箋を取り出し、目を通すと。



『碧くんに陽菜をお願いするわね! ラブライフを送ってね』



なんて、ママの字で書いてあった。

最後にはハートマークをつけて。



「ってことで、“ラブライフ”を一緒に送ろうね。陽菜」



意地悪く笑う碧。

これから、私はどうなっちゃうのよ!?
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