お前の隣は俺だけのもの。
「ごめんね。気をつける」



素直に謝ると、ヤンキーくんは驚いた表情をする。

付け加えると、碧に群がっている女の子たちも驚いた表情をしている。


まあ、いいか。

深く考え込み過ぎないようにしよう。



「そういえば名前、聞いていないや。私は岩倉 陽菜だよ」



人に名前を聞くときは、まず自分から、って言うもんね。

そう思って自己紹介をしたのに、ヤンキーくん固まっているし。



「どうしたの?」



こういうときは、思い切って聞いてみるのが1番だ。

ヤンキーくんの返事を待っていると。



「潤は照れちゃったんだよねー?」



後方から、明るい声が聞こえる。

振り向けば、チャラチャラした格好の、これまたイケメンが腕を組み、壁に寄りかかりながら立っていた。



「はっ!? 照れてなんかいねぇよっ」

「でも、顔が赤いよー?」



イケメン2人が、私を挟んで会話をしている。

後ろを見たり前を見たり、首が疲れる。


そう思っていると、チャラい系イケメンが私の机の横にしゃがみこむ。

その腕を机の上において、にこにこしている。



「ねえ、君。見たことない顔だねー? 名前は?」



明るい茶髪のチャラい系イケメンが私に問う。

だけど。



「人に名前を聞くときは、先に名乗るのが礼儀でしょ?」



私の言葉に目をぱちくりさせるチャラい系イケメンくん。

それから、なにが面白いのか、おなかを抱えて笑い出した。
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