お前の隣は俺だけのもの。
「おー、ごめん、ごめん! 君の言うとおりだねぇ」



ひーひー、言いながら笑っている姿もイケメンってなんなの。



「俺はねー、水樹 怜央! 怜央、でいいよー」



名前までかっこいいな。

神様は不平等だ。



「岩倉 陽菜です」

「陽菜ちゃんね!連絡先、交換しよー?」



怜央、という人は、軽々しく連絡先交換なんて言ってくる。

携帯をポケットから取り出した怜央。

その携帯には、いったいどのくらい、女の子の連絡先が入っているのだろう。

怜央からは危ない香りがするぞ。



「携帯、持っていないんで」



こういうときは、嘘ついて誤魔化したほうがいい。

私の本能が言っている。



「それ、嘘でしょー?」

「携帯、持っていないんです。諦めてください」



怜央と言い合っていると、隣の席から吹き出すような笑いが聞こえた。



「ふっ、ふふっ、」



びっくりして横を見ると、碧が手で口を押さえて笑っていた。


あ、その姿、かわいい……。


じゃなくて。

なんで、笑っているのさ。

さっきまで、私のことを空気のように扱っていたのに。
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