お前の隣は俺だけのもの。
「陽菜ちゃん、なんで息切れているのー?」

「なんで、って。歩くの速すぎ!」

「ああ。悪りぃ」



私の足の遅さを笑う怜央と、気遣ってくれる潤。

先頭を歩いていた碧も振り返る。

そして、意地悪く笑った。



「陽菜の足の遅さがバレちゃったね」

「―っ」



碧の毒舌が始まった。

学校のときの嘘くさい笑顔から、悪魔みたいな笑顔に変わる。



「あれあれっ? 碧の裏の顔、陽菜ちゃんは知っていたの?」



怜央が私と碧を交互に見る。

潤も不思議そうな顔をしている。



「実は。昨日、」

「陽菜と俺は幼なじみだからね」



昨日、裏の顔を知りました、と言おうとしたところで、碧にさえぎられた。


……あれ?

今、“幼なじみ”って言った?

学校では他人行儀だった碧が、私のことを“幼なじみ”として認めてくれている。

そのことが、なんだか嬉しかった。



「そうだったのか」



潤がなにかを納得したように頷く。

怜央は私の反応を見て笑っている。



「まあね」



そんな2人に素っ気なく返事を返す碧。

碧の裏の顔を見ても驚かない、怜央と潤。
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