お前の隣は俺だけのもの。
最上階で降りる私たち。

碧はスタスタ歩いて、部屋の鍵を開けた。

無言で部屋の中に入っていく碧のあとに続く怜央たち。



「おじゃましまーす。……って、女物のパーカー?」



怜央がリビングで首をかしげる。


しまったぁっ!

今朝、寒いなぁ……と思ってパーカーを着ていて、学校に行くときにソファに脱ぎっぱなしにしたんだ!



「彼女、出来たーっ?」



怜央が碧に絡んでいる。

潤も『ようやく九条にも……』と頷いている。


いやいや!

それ、私の! ……とは言えず、黙っていると。



「陽菜」

「はいっ!」



碧に名前を呼ばれて声がひっくり返った。

心臓がドキドキうるさい。



「脱ぎっぱなしはやめてよね」

「えっ……」



碧の言葉に固まる私。

固まっているのは私だけじゃない。

怜央も潤も固まっている。


しばらくフリーズしたあと、最初に口を開いたのは潤だった。
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