お前の隣は俺だけのもの。
「付き合っているのか?」

「幼なじみだけど?」



碧がソファに脱ぎ捨てたパーカーを私に向かって投げてくる。



「じゃあ、」

「ワケありで、同居しているだけ」



おおおう!?

碧がさらりと“同居”について話してしまったよ。

私は、出来れば、この同居のことを黙っておきたかったのに。

潤はピシッと固まっているし、怜央はぽかんと口をあけている。

私は投げつけられたパーカーを握り締めている。


……そりゃ驚くよね。

高校生で同居なんて。

しかも、片方芸能人で、片方一般人だよ?



「まぁ。……座れば?」


先にソファに座った碧が、空いている席を指差す。

2人は戸惑い頷きつつ、ソファに座る。

私もソファの端に座った。



「なんで陽菜も座るの。コーヒー淹れるのが先でしょ」



……当然のように碧が言う。

私のことを、なんだと思っているんだ。

だけど、一応、住まわせてもらっている身なので。



「分かりましたっ! みんな甘いのでいいねっ!?」

「ブラックだから」

「俺も」

「……」



無言で頷くの、やめてよね、潤。


ていうか、みんなブラックなの!?

大人じゃん!

私だけ、甘いコーヒーか。


……別にいいけど、碧に笑われそう。
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