お前の隣は俺だけのもの。
「今日はもう帰って」



碧の言葉に、顔を見合す怜央と潤。

2人は頷いてからソファを立った。



「陽菜ちゃん、また来るねー」

「岩倉、また明日な」



ソファに座ったままの私の頭を撫でてから帰る2人。


私の頭って、撫で心地がいいんですかね?


2人の背中に手を振って見送る。


さて。

この空間に碧と2人きりになってしまった。

どうしようか。

洗濯物でも片付けましょうか。

じゃないと、『なに、座っているの』なんて怒られそうだもの。


私がソファから立ち上がろうとしたそのとき。


どちらが立ち上がるのが早かったか。

碧が動いたと思ったら、私の隣まできて。

そのまま、碧は私の髪の毛に触れた。



「み、みどりっ!?」



碧は無言のまま、私の髪の毛を撫でる。

ゆっくりと、まるで繊細なものを扱うかのように。


思わず碧の顔を見る。


……碧は、すごく柔らかい表情をして微笑んでいた。

見たことがないくらい、きれいな笑みだった。
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