お前の隣は俺だけのもの。
別に、恋愛ドラマの撮影ってことくらい、教えてくれてもいいじゃん。

それなら応援するし。

なんで碧は隠すように、答えてくれなかったんだろう。

もやもやが心の中に広がる。


時計を見れば夜10時を過ぎていた。

そろそろ、碧が帰ってくるかなぁ、と思っていると。


ガチャッ!

玄関の鍵が開く音がした。


碧が帰ってきた!


私はマグカップをテーブルの上に置いて、玄関まで走っていく。



「おかえり!」

「……」



靴を脱いでいた碧は、一瞬私に視線を向けたあと、すぐにそらした。

冷たい……。



「ご飯作っといたよ?」

「……」



私が話しかけても返事をしてくれない碧。

疲れているんだろうな、とは思うけど、少しくらいは反応して欲しい。

碧の体調だって心配だ。

一緒に住んでいるからこそ、見えてしまうものはある。

心配とか、そういう感情だって生まれてくる。

だから、ご飯くらい食べて欲しい。
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