お前の隣は俺だけのもの。
「碧? ご飯、食べてよ」

「……いらない」



最近、繰り返される会話だ。

ご飯を食べて、と言うけれど、碧は『いらない』の一点張り。

外で食べてきているのだったらいいけど、外で食べている気配は感じられない。


リビングへ向かう碧の背中を追いかける。

碧は持っていた鞄を、ソファに投げつけた。



「碧、」

「あのさぁ」



振り返って私を見た碧の顔は、イライラしているようにも見えて、どこか寂しそうだった。



「疲れているから、寝たいの。……ほっといて」



そう言われてしまったら、なにも言い返すことが出来ない。

言い返したって、全部跳ね返されると思うから。

碧は私の横をすり抜け、お風呂場へ向かった。



「はぁぁあ……」



大きなため息。

前までの碧の意地悪な笑顔さえ恋しくなるなんて。


……重症だ。
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