お前の隣は俺だけのもの。
「じゃあ、“総長”ってことも知っているんだね?」

「……ん?」

「“総長”ってことは知っているんだよね?」



怜央の言葉が聞こえなかったわけじゃなくて。

怜央の言葉の意味が分からなかった。


首をかしげる私に、怜央も首をかしげた。



「“総長”って、なに?」

「え、」



怜央が驚いた顔で私を見てくる。

潤も同じような表情をしている。



「九条が暴走族ってことは知っているんだろ?」

「……は?」



暴走族……?

誰が?

……今の話の流れから、碧が暴走族ってことだよね?



沈黙が流れる。

菓子パンやお弁当箱を持って固まる私たち。

その空気を破ったのは怜央だった。



「だって、陽菜ちゃん、碧の裏の顔を知っているって……」

「うん。表向きは王子様だけど、裏の顔は悪魔ってことは知っているよ?」



私の言葉に、大きなため息をつく2人。

再びアイコンタクトをしているのか。

2人は少しあせっているようにも見える。
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