お前の隣は俺だけのもの。
「なんで、名前が“龍虎”なの? 誰が名づけたの?」



その問いに関しては、碧が答えてくれた。



「“龍虎”は伝統あるグループで、“すぐれた2人”の意味がある。名前を決めたのは初代総長」

「そうなんだ……」



淡々と答えた碧だけど、“龍虎”を大切に思っていることは伝わってくる。

大切に思っているからこそ、誰にでも“龍虎”について話すことはしない。

そう思ったら、私に話してくれたことが嬉しかった。



「龍虎は“居場所”、なんだよね」



怜央がポツリと呟く。



「龍虎は俺にとっての居場所!」



呟いたあと、怜央は笑顔を見せてくれた。

それの言葉に続いて、潤も龍虎への想いを教えてくれた。



「大切な仲間がいるからな。居場所にもなる」

「そう! そういうこと!」



潤と怜央の表情は柔らかかった。

それと同時に、どこか嬉しそうな表情だった。


改めて、2人の想いを感じたのか。



「……伝統を繋いでいきたい」



碧は噛み締めるように、言葉を発した。

その言葉に頷く2人。

みんな、“龍虎”が大好きで、大切に守りたいものなんだな、って伝わってきた。

彼らを見ていると、自分が恥ずかしくなった。
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