お前の隣は俺だけのもの。
怜央と碧の言葉に、2人を殴りたくなったことは言わないでおく。

言ったら、蹴飛ばされてしまいそうだから。


でも、良かった。

怜央が見せた真剣な表情の理由も知ることが出来たし。

いつも、へらへら笑っている怜央が、真剣な表情を見せるほど大切なものなんだな、って思った。

やっぱり、3人と話せてよかった。



「あとね」



怜央がなにかを思い出したように言う。



「俺たち“龍虎”の総長は、碧だって話したでしょ?」

「うん」

「だけどね、本来なら総長は2人いるべきなんだ」



総長が2人……?

碧の他にもう1人、総長が必要。


そんな感じに聞こえる。



「他の族は分からないが、“龍虎”の総長は2人が基本だ」



潤が言葉を続ける。

なるほど。

暴走族といってもいろいろあるのか。



「今、総長は九条だけだ」



隣に座っている碧を見れば、複雑そうな表情で2人の話を聞いていた。


伝統を繋いでいきたい、と言っていた碧。

総長が1人ってことは、碧の言う“伝統”を引き継げていないってこと?

だから、複雑そうな表情をしているの?



「だったら、怜央か潤が総長になればいいじゃん」



私がそう言うと、怜央は首を振った。
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