お前の隣は俺だけのもの。
碧の視線の先には、なにがあるのかな。

碧が見ている空を眺めた。

今日は快晴ではなくて、雲がところどころ浮かんでいる。


あ。

あの雲、犬みたい。


珍しい形の雲だなぁ、と思っていると。



「あれ、陽菜に見える」



碧が空に浮かぶ雲に向かって指をさす。

その指の先をたどると、私が見ていた雲があった。



「犬みたい?」



冗談交じりに聞くと、碧は頷いた。



「うん。犬みたいで陽菜みたい」

「なにそれー」



思わず笑ってしまう。


犬みたいで陽菜みたいってなに。

そう思って笑っていると、視線を感じた。


隣を見れば、碧が私を見て微笑んでいた。

いつもの意地悪な笑顔じゃなくて。

なんて言うのかな。

全てをやさしく包み込んでくれそうな、そんな笑顔。

太陽の光に当たって、碧の表情は明るく見えた。



「碧は、なんで総長になろうと思ったの?」



思っていたことを口に出す。
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