お前の隣は俺だけのもの。
「その女の子には告白しないの?」

「陽菜、」

「その女の子が総長になれば……、」

「陽菜っ!」



気づけば、涙がこぼれていた。


なんで。

なんで、私泣いているの?

自分が泣いている意味も分からず、混乱する。


そんな私に碧は手を伸ばす。


だけど。


気がついたら、その手を振り払っていた。



「陽菜……」



目を見開く碧。

今の私には、言い訳なんて出来る余裕はなくて。

お弁当箱を包んで、屋上から飛び出すことしか出来なかった。


自分の感情が分からない。


碧に守りたい子がいる、って聞いたとき、胸が苦しくなった。

どうしていいのか分からなくなった。

碧は小さい頃からずっと私のそばにいる、なんて私は勘違いしていたのかもしれない。

教室で再会できるなんて思わなかったから、嬉しかった。

“陽菜”って急に呼び捨てされたときは驚いたけど、今では“陽菜”って呼ばれることが嬉しい。

テレビの中で碧を見かけたら、苦しくいなる自分もいた。

碧が近いようで遠い存在に感じた。

他の女優さんに笑いかけている碧にイライラしたときもあった。
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