お前の隣は俺だけのもの。
今日。

“龍虎”の話を聞いて、特別感を感じた自分がいた。


私だけが知っている碧。

それは幼稚園の頃から、ずっとそう思っていた。


幼稚園でいじめられている碧を守れるのは私だけ。

小学生、中学生になって、碧とは離れてしまったけど。

テレビの中で碧を見つけては、『私の幼なじみ』って優越感があって。

なんで、こんなにも複雑な気持ちになるんだろう。


心に広がるぐちゃぐちゃした感情は、どうしたら消えるの?


涙が止まらない。

廊下を歩けば、すれ違う人たちに二度見される。

そんなの、かまっていられない。

自分のことだけで精一杯なのに。


涙を流しながら廊下を歩くけれど、私はどこへ向かっている?

それすら分からない。


だれか、この感情を教えてよ。


そう思った、そのとき。



「陽菜さん!」
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