お前の隣は俺だけのもの。
名前を呼ばれて振り返れば、凛ちゃんが息を切らして立っていた。



「凛ちゃん……」

「先ほどすれ違ったのですけれど、陽菜さんの様子がおかしかったから、慌てて追いかけてきました」

「凛ちゃん……っ」



思わず凛ちゃんに抱きつく私。

泣いている私の背中を撫でてくれる凛ちゃん。



「もう少しで、予鈴がなりますが……。どうします?」



そうだ。

もう少しで昼休みが終わってしまう。

だけど、教室には戻れない。

きっと碧がいるのだから……。

隣の席で普通に授業なんて受けられない。


サボってしまおうか。

でも。

ここで碧を避けるような態度をとってしまったら、どうなるんだろう。

碧だったら、私のことを避けてしまう気がする。


ぐるぐると頭の中が回って、自分の感情が整理できない。

どうしよう。

凛ちゃんだって、授業があるのに。
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