お前の隣は俺だけのもの。

それぞれの悩み

碧のことが好きだと自覚した日から、なんだかソワソワする。

あの日は感情的に、屋上から飛び出してしまったけれど、碧に謝ったら許しくれた。

だから、今も一緒に朝ご飯を食べているけれど、碧のことが気になって、チラチラと盗み見てしまう。

そんな私の視線を感じたのか。



「……なに?」



朝から機嫌が悪そうな碧に睨まれる。

今までだったら、『なんで睨むの』って言われていたかもしれない。

だけど、最近はそんな碧と一緒の空間にいること自体が嬉しいんだ。



「なんでもないよ」

「……そう」



碧は味噌汁に口をつける。

そんな碧をみて、ふと思った。



「ねえ。碧は、味噌汁だったら何味が好き?」

「……は?」



ぽかんと口を開ける碧。

私の質問が理解できません、と顔が物語っている。

失礼な。



「味噌汁なんだから、味噌味しかないじゃん」



なにバカなこと言っているの、とため息をつく碧。



「えー。薄味とか、濃い味とかあるじゃん?」

「じゃあ、薄味で」

「薄味ね! 明日から、味噌の量を半分に減らすね!」

「それは薄すぎるからダメ」



くだらない会話。

そんな会話さえも嬉しくて、朝から笑顔になれる。


最近、碧も受け答えをしてくれるようになってきたし。

遠かった碧の存在に、一歩近づけたのかな、って勝手に思う。
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