お前の隣は俺だけのもの。
10月も残りわずかだ。

11月に変わるまで、あと1週間もない。

寒くなってきたなぁ、と思いながら部屋の窓を開ける。


夜。

今日も碧の仕事の帰りを待っている。

なんとなく、夜風を浴びたくなって部屋に空気を入れているんだけど。



「寒いっ!」



パーカーを羽織っていても感じる、夜の空気。

……この寒い中、帰ってきて風邪を引かなければいいんだけどな。

窓から見える月明かりに、碧のことを想う。

やっぱり窓開けていると寒いから、閉めよう。


私が窓の鍵を施錠していると、碧の声が聞こえた。



「ただいま」



碧が帰ってきた!

しかも、今日は『ただいま』って言ってくれている!



「おかえり!」



疲れた顔の碧を笑顔で迎える。

碧は私に視線を移してから、小さく笑った。



「ほんと、陽菜って犬みたいだよね」



碧の表情が和らいだのが分かった。

そして、碧はその手を私の頭に、ぽんっと置いた。



「陽菜を見ていると癒される」

「―っ!」



今の不意打ちはずるい。

心臓をドキドキさせる私の様子に満足したのか、碧はテーブルの椅子に座った。
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