お前の隣は俺だけのもの。
「今日の晩ご飯はなに?」

「カレーだよ」



私は作っておいたカレーを、ご飯の上にかける。


うん。

スパイシーな良い匂い。


2つのお皿を持って、碧の前に置く。

もうひとつは、自分の目の前に。


私たちは、いただきます、をしてからカレーを頬張った。



「美味しい。我ながら上出来」



そう言って私が笑うと、碧はカレーから私に視線を移した。



「……陽菜にしては、“上出来”だね」

「なにそれっ」



碧が笑うから私も笑う。

最近、碧の笑顔が増えた。

なにかいいことでもあったのか、と思う疑問に思うくらいだ。


そう疑問に思ったとき。

ふと、嫌な感情がよぎった。


碧が言っていた『守りたい奴』と、なにか発展でもあったのだろうか。

いい感じの雰囲気に進んでいるから、家でも笑顔が増えている……、とか。


1度頭に浮かんでしまったものは、消したくても消すことが出来なくなる。

今は碧との時間を楽しみたいのに、楽しめなくなってしまう自分。


だって。

『守りたい奴』のおかげで、碧の機嫌良いのであれば、複雑すぎる。

碧が笑っていてくれるのは、喜ばなきゃいけないのだけれど……。


自分の心が灰色に染まってくる。
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