お前の隣は俺だけのもの。
「……はぁ」



無意識のため息。

そんな私のため息に、碧が反応する。



「なに? なんか悩みでもあるの?」



思わず顔を上げる。

碧を見れば、真面目な顔をして私を見つめていた。


私のことを心配している。

そんな表情のように感じた。


だけど、私の気持ちを話すことは出来ない。

特に、碧には絶対話せない。


だから、私は誤魔化すんだ。



「明日の夕飯もカレーかなぁ、って思って!」

「……」



明るい笑顔を作る。

碧は疑うように私を見ているけれど、私は笑顔を保ち続けるんだ。



「碧こそ、悩みあるんじゃないのー?」



なんとなく、発した言葉だった。

だけど、碧は一瞬にして表情を暗くして。

小さく呟いた。



「悩みくらい、あるよ」



碧は暗い表情のまま、空になったカレー皿に視線を落とした。


思ってもいなかった反応だった。

プライドの塊みたいな碧が、私の前でこんな表情をするなんて。



「……碧の悩みってなに?」



思い切って聞いてみる。

碧が悩んでいるなら、少しでも手助けしたい。

そう思った。


しばらくしてから、碧が口を開く。
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