お前の隣は俺だけのもの。
「どうしたの? あ、もしかして俺に会いに来た?」



いつもだったら、このチャラチャラした発言をする怜央に反論するけれど、今日は怜央の言う通りなので。



「うん。怜央を探していました」



と、素直に応える。



「素直すぎて怖いんだけど」



怜央がお腹を抱えて笑っている。

ひどい。

『素直すぎてかわいい』なら分かるけど、『素直すぎて怖い』って、さすがに傷つく。


頬を膨らませる私の頭を撫でる怜央。



「子供じゃないから!」

「でも、頬を膨らませているのは子供みたい」



整えてきた髪の毛を、ぐちゃぐちゃにするレベルで頭を撫でる怜央。

いい加減、やめて欲しい。



「もうっ。怜央に相談があってきたんだから!」



怜央の手を振り払って、そう言うと、怜央は目をパチクリさせる。



「陽菜ちゃんが? 俺に相談?」

「うん」

「明日、雨降るのかな」

「天気予報、晴れだったよ」



私が怜央に相談したら、雨が降るってどういうこと。

そんなに珍しいって言いたいのか。

……まあ、珍しいかもしれないけどさ。


膨れっ面の私の手を握る怜央。
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