お前の隣は俺だけのもの。
「だから、碧の仕事場って知っている?」



私が尋ねると、怜央は腕を組んだ。

『んー』とか『あー』とか言っているけれど、私の質問の答えになっていない。


しばらく怜央の呟きを聞いていると、怜央越しに赤髪のヤンキーが見えた。

潤だ。

潤が登校してきたんだ。


私はひょこっと顔を出して、潤に手を振る。



「潤ーっ。おはよー!」



私の声につられて、怜央が振り返る。



「おー。おはよ」

「……はよ」



低血圧なのか。

機嫌が悪いのか。

いつも以上に無表情だった。

というより、眠そう。



「潤ってさ」



怜央が口を開く。

潤はあくびをしながら怜央に視線を向けた。
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