お前の隣は俺だけのもの。
そんなに碧の仕事は大変なのかな。

見ているだけの私が『後悔する』とか『苦しくなる』ってどういうことなんだろう。

疑問に思いながらも、私は頷いた。


私の思いが伝わったのか、怜央と潤は建物の中に入っていく。

私も2人を追いかける。


建物の中に入ると、“関係者”と書かれたネームを渡された。

それを首にかける私。

怜央と潤は何度かここに足を運んでいるのか、慣れた手つきでネームを受け取っていた。


私たちは碧が仕事する現場を一直線に目指した。

広いスタジオのような場所にたどり着く。

と、いっても、私たちは部外者でもあるので、スタジオを見渡せる2階部分に案内された。

体育館を見下ろすギャラリーみたいな感じ。

手すりにつかまりながら、スタジオを見下ろす。


……スタジオって、人があふれていてもっと騒がしい場所なのかと思った。

だけど、ここは静かで、物音ひとつ許されない空気を感じた。

そして、スタジオにセットされた小道具。

ソファやテーブル、花瓶に写真立て。

なんだか、アパートの一部屋を切り取ったような感じ。

不思議な感覚だ。
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