お前の隣は俺だけのもの。
「陽菜」



碧が私の名前を呼ぶ。



「……なんで、撮影を見に来たの」



碧の発した言葉は疑問系じゃなかった。

その言葉に何も言えなくなる私。



「……見られたくなかった」



隣を歩く碧を見上げると、その横顔は苦しそうだった。

なんで、そんな顔をしているの。

私が撮影を見に行ったから?

仕事に集中できなくなるから?



「ミクさんともっと話したかったとか?」



言って後悔する。

自分の言葉にハッとする私。

そんな私の腕から碧の手が離れた。

そう思った瞬間に、体が温かいものに包まれた。
碧が、私を、抱きしめている……?


なんで。

なんで、私を抱きしめるの……。
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