Galaxy☆Quintet 〜優等生女子がバンドを始めた話〜【連載中】
俺はかおるのあとを追うように椅子から立ち上がる。
変に疑われぬようトイレに行ってくるという別な理由を付け足して。
なのに水前寺がニヤニヤと気味の悪い笑みを貼り付けていたのは、悔しいがこちらの胸中はバレバレという証なのかもしれない。


「いるか?」
「あー、じゃあ烏龍茶で」
「りょ」


ドリンクバーのメニューをこちらに向けながら訊ねて来た金子にそうお願いしてから、俺は木之本の美声が響き渡る部屋を出るなりフロントに向かった。
それから自然を装って、ダイナーな雰囲気が漂う白黒チェック柄のソファーに腰掛けていたかおるに声をかける。


「あの部屋暑いよな」
「あれ、火野も涼みに来たんだね」
「ああ。隣いいか?」
「どうぞ」


かおるが丁寧に、手のひらを隣に向けてくれる。
隣に座れてしかも他に邪魔者がいない展開に、俺は心の中でよし!と拳を握った。
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