Galaxy☆Quintet 〜優等生女子がバンドを始めた話〜【連載中】
懸命に平常心を保つ俺の隣で、かおるは正面を見据えながら続ける。


「スバルや仁の声も好きだけどね。歩夢は……うーん、ちょっと分かんないけど、例え歌が上手じゃなくても、歩夢はマスコット的存在だし。なんか一緒にいて癒されるでしょ?」


ほら、聞いたか。今かおるが口にした“好き”に特別な意味はないんだ。
言わばライク、ただ好ましいという感情。
それ以上でもそれ以下でもない、それだけのシンプルな話だ。

俺は未だ水前寺へのフォロー発言を続けているかおるに、適当に同意してから部屋に戻ることにした。
なんだか過度に意識している自分が恥ずかしくって、これ以上かおるの隣にいるとボロを出してしまいそうな気がしたからだ。


「先戻ってるな」
「うん。私もう少し休んでるね」
「ああ」


明るい色合いの通路を歩きながら俺は思う。
俺にとっての大切な生き甲斐だったサッカーと同じくらいに夢中になれるものを見つけた。
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