先生がいてくれるなら③【完】
「ちょっと待てよ。なんで親父が探偵雇うわけ? 順番がおかしくないか? は?」
俺の頭は激しく混乱していた。
そもそも、なんで親父の方が先に高峰のことを疑ってるんだよ。
岩崎が、親父か光貴に先に接触してて、岩崎から高峰が過去にやった事を聞いてたなら、話は分かる。
でもそれだと、探偵を雇う必要は無い。
いくら考えても俺にはよく分からず、眉根を寄せた。
「まぁ、詳しいことはちょっと俺からは話せないかなぁ」
「言っておくけど、僕と父さんからも話せないから」
おい待て。
なんで二人して……いや、三人か。三人して説明を拒否するんだ。
「まぁ、何にしろ、立花さんが色々頑張ってくれたって事だよ、兄さん」
「……何にしろ、って何だよ。全然分からねぇだろ!?」
俺と光貴のやり取りに、「お前ほんとに分かんないの?」と岩崎が口を挟んだ。
「じゃあヒントをやるよ。立花さんと高峰の接点は? なんで立花さんが入院してる高峰の所に来る必要がある? 高峰はどんな性格? 立花さんの性格は?」
「……」
俺は、岩崎の言葉を聞いて、ひとつひとつ考えを巡らした。
高峰は見た目通り激しい性格だ、自分の意志を貫き通すし、その為ならどんな事だってするタイプだ。
立花は……お人好しでお節介で、正義感が強くて、意外と真面目で、ちょっと抜けてて、でも芯は強い。