先生がいてくれるなら③【完】
車を走らせて、立花のお兄さんが眠る墓地へと向かう。
立花に対して、あんなに頑なな態度を取らなければ良かった、と今更ながらに思い、反省する。
きっと立花があんな事を言ったのは、高峰のせいなんだろうから……。
病院から車で30分ほどの所にある墓地に着いた。
立花と付き合う前も、付き合ってからも、月命日の前後には必ず一緒に来ていた、ある意味懐かしい場所。
俺は駐車場のいつもの場所に車を停めて、立花を待つ。
──きっと、お兄さんにいろいろ報告してるんだろうな。
いつも熱心に手を合わせていた立花を思い出して、思わず頬が緩む。
しばらく車の中で待っていると、照りつける日差しの中を、立花がこちらに向かって歩いてくるのが見えた────。