先生がいてくれるなら③【完】


半年以上ぶりの先生の部屋──。


最後にここで過ごした時間とは大きくかけ離れた、なんとも気まずいこの雰囲気。


そして、散らかったリビングのローテーブル……。



先生は4月から2組の担任を受け持っているせいで、仕事が以前よりずっと忙しいのだろう。


いつも二人で一緒に過ごしていたテーブルの上は、見るも無惨に書類であふれかえっている。


私は思わずテーブルから目を逸らした。


散らかっているのを見かねたから、ではない。


生徒の私が見てはいけない書類があるのを心配したからだ。



「座ってて。冷たいコーヒー入れてくる」


そう言って先生はキッチンへと消える。


どちらかと言うと綺麗好きで、たくさん仕事を持ち帰った時でも、一旦仕事にキリを付けたらちゃんと片付けたいタイプの先生が──ここまで散らかすと言うことは、やはり相当仕事が忙しいのだろう。


若手の先生はベテランの先生から雑用を押しつけられることも多いに違いない。


担任を持っていなかった昨年度でさえ、日々忙しそうにしていたぐらいだ。


今はどれほどまでに忙しいのか……。



ちゃんと食事摂れてるのかな、ちゃんと寝てるのかな、……。


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