先生がいてくれるなら③【完】
全てが元通りになれば良いのだが、過ぎてしまった時間を取り戻すことは出来ない──。
俺たちには話し合わなければならないことがたくさんある。
まずは、高峰のことだ。
やっぱり聞いておかなければ、スッキリしない。
だが立花はあまり気が進まないようで、「約束してくれたら、少しだけ話します」と条件を付けてきた。
「……少しだけ? 約束も守った上で、“少しだけ”?」
それはあまりにも横暴じゃないか?
俺にだって聞く権利はあるはずだ。
元はと言えば、高峰は俺の教え子で、俺がちゃんと対処しておかなかったせいなのだ。
俺が抗議の意味を込めて睨むように見つめると、睨み返された。
立花はかなり強情な方だ、きっとこの件に関して折れることはないだろう。
俺はわざと大きなため息を吐いて、渋々「分かった」と承諾した。
何を約束させられるかと思ったら、高峰と立花の関係に口出ししないで欲しい、と言い切った。
おいおい、何てことを言い出すんだお前。
はぁ、なんでそうなるんだ……。
「……お前知ってたっけ? 俺があいつ嫌いなの」
俺がそう言うと、「多分そうだろうなとは思いました」と返事が返ってくる。
だったらやめてくれよ……。
高峰に関わったらろくな事ないに決まってる。
この約束が嫌ならこれ以上話さない、と言われて、俺は思わず考え込んでしまった。