先生がいてくれるなら③【完】
土砂降りの雨に半分ぐらい濡れながら小走りでスーパーに向かい、玉ねぎを買ってスーパーを出る。
外は既に冷たい風が吹いていて、空のゴロゴロは次第に音が近づいて来ている。
遠かったピカピカとゴロゴロの間隔も、いつの間にか間隔がとても短くなっていて……。
うー、怖いっ、でも、玉ねぎがっ……!!!
スーパーから出て少し走ったところで、私は後ろから誰かに腕を掴まれた。
「……っ!?」
びっくりして振り返ると、そこには──細川先生が立っていて……。
雷鳴とどろく中、私は心の中で、この人は雨男か……とか、暢気なことを考えていた。
「立花さん、何やってんの!? こんな雷の中……危ないだろ!?」
半分叫ばなきゃ声が聞こえないぐらいの強い雨と、雷鳴。
私はスーパーの袋を少し掲げて、「どうしても買わなきゃいけなくて……」と言うと、細川先生はそれを見て大きなため息を吐いた。
そして、掴んでいた私の腕を放すことなく、そのまま引っ張って歩き出す。
「えっ、ちょっと、細川先生……っ!?」
慌てる私に、細川先生は怖い顔で「雷に打たれたいのか!?」と強い口調で言った。
確かに、これだけ雷が近いと……、うん、危ない、かも知れない……。
だから走って帰ろうと思ったんだけど……。
そのままぐいぐいと引っ張られ、細川先生のアパートの階段を上がらされた。
「緊急避難だからっ」
細川先生はそう言って、私を先生のアパートの部屋に押し込んだ。