先生がいてくれるなら③【完】

……こう言うのを、PTSD(心的外傷後ストレス障害)って言うんだろうな、とランタンの光を見ながらぼんやりと考える。



まだ心臓がドキドキしたままだし、手だって少し震えてる。


このランタンだって、もしかすると停電が復旧する前に途中で電池が切れてしまうかも知れない。


──まずい、そう考えると、また不安になって来てしまった。



また少し様子がおかしくなった私を見て、細川先生は震える私の手を取って、ギュッと握った。



「……立花さん、大丈夫? また不安になって来ちゃった?」



そう言えばこの人は、案外勘が良いんだった……。


隠しても仕方がないので、私はコクリと小さく頷いた。


「早く復旧して欲しいね。電気が通ったら、送って行くからね」


私はまたコクリと頷く。


細川先生はランタンを手に持ち、私の手を引いてローテーブルのそばへ移動した。


ランタンをテーブルに置いて、「ほら、座って」と、私に座るように促す。


私がペタリと床に腰を下ろすと、先生も私のすぐ横に腰を下ろした。


握られていた手が離れ……、抱き寄せられる……。


「先生……、あの……」

「まだ震えてるね。怖い?」

「……いえ、あの、……」


< 173 / 352 >

この作品をシェア

pagetop