先生がいてくれるなら③【完】
激しい雷雨の翌日。
私は朝早くに起きて、昨晩のうちに作ろうと思っていた料理に取りかかった。
寝起きでまだ頭が正常に働いていないのか、一体何を作るんだったっけ、と手を洗いながら考える。
「……そうだ、ハンバーグ……」
それを作るために玉ねぎを買いに行ったんだった、と思い出す。
大量のみじん切りと格闘しつつ、涙と鼻水とも格闘しつつ、先生に昨日のことをどう言えば良いかを考えていた。
きっとどんな風に話しても先生が激怒するのは分かってる。
でも、言わないのは、もっと最悪だから──。
私ひとりしか知らないことならあえて報告しなくても良いのかも知れないけど……今回の件は、細川先生の口から漏れないとも限らない。
黙っていたことを、他人の口から聞かされることほどショックなことはない。
そんな事態になったらますます大変なことになる。
私は料理をしながら、昨晩の出来事を頭の中で整理した──。