先生がいてくれるなら③【完】
先生が何を言いたいのか分からずにいると、先生が私の耳に顔を寄せて「あの男も、お前にこう言うことしたいと思ってるってこと、気付いてないだろ」と囁いた。
先生が声を出すたびに私の耳に先生の息がかかり、言葉を紡ぐたびに唇が私の耳殻に触れてゾクリとする。
一気に身体が熱を持ち始め、耐えきれずに私は先生にギュッとしがみついた。
与えられる感覚の方に意識が行ってしまい、先生が何を言ったのか、内容が全て出て行ってしまった。
「せん、せ……」
先生の唇から逃れようと、顔を背けて囁かれた方の耳を先生の胸にギュッと押しつけるように隠すと、先生は私の髪を掬って、露わになったうなじにそっと唇を這わせた。
「……っ!」
ゾクリ、とすると共に、思わず肩ががビクッと上がる。
その反応に、嬉しそうに少し笑った先生の息が私のうなじにふわっとかかり、背中がゾクゾクとして体中の力が完全に抜けてしまった。
先生の背中にギュッとしがみつくように回していた手も、もう力を入れることが出来ず、ズルズルと先生の背中から滑り落ちる。
完全に力が抜けてもたれかかっている私のうなじから首筋、隠せていない反対の耳……と、先生の唇にどんどん責め立てられていく。
息を浅く吐いて与えられる強烈な感覚から逃れようとするけれど、先生はますます私を追い立てるように、今度は熱い舌先で私の肌を溶かすように、ゆっくりと首筋をなぞり始めた。