先生がいてくれるなら③【完】
「……っ、せ、んせ……っ」
そう口にするのが精一杯で、声も小刻みに震えてるし、恥ずかしいぐらいに甘ったるい声になってしまっていて、羞恥に思わず身体が震えた。
私の肌に唇を押しつけたまま、先生が嬉しそうに笑う。
ただそれだけなのに、先生の息づかいにまた私の全身が粟立って、震えた。
悲しいわけでも苦しいわけでも無いのに、目にじわりと涙が浮かぶ。
ぐったりと先生に身体を預けて、はぁ、とため息のように息を吐き出すと、先生の唇がやっと私の肌から離れた。
「……他の男にこう言うことさせるなよ?」
させるわけ、ない……、
そう言おうとするけど、息が上がって、全身が熱くて、返事が出来なかった。
「……分かってんのか?」
先生に身体を預けたまま辛うじて小さく頷くと、先生が私の頭をグシャグシャと撫でた。
「ったく、ホントに分かってるんだろうな。お前の危機感の欠如は世紀末レベルで恐ろしいからなぁ」
世紀末って……。
相変わらず先生の言うことは、暴君じみてる。
でも、そう言う部分も含めて好きなんだから、私も始末に負えないよね……。
整わない呼吸を、はぁ、はぁ、と肩で息をすることで、なんとか酸素を肺に取り入れる。
ぐったりと先生にもたれかかったまま、先生と触れ合った部分からじわりと伝わる体温に、言いようもない幸せな気持ちが込み上げて来る。