先生がいてくれるなら③【完】
目を開けると、嬉しそうにフッと微笑む先生と視線が絡み合う。
「そんなに恥ずかしかった? 耳まで真っ赤」
先生はそう言いながら、私の耳を指先でゆっくりとなぞる。
「……っ、やめ、……くすぐったい、っ」
思わず身を捩ると、耳元に唇を寄せてきて、「なぁ、立花」と囁いた。
「……っ、な、んですか……?」
「“くすぐったい” と “気持ちいい” の違いって、何だと思う……?」
そう言いながら、私の耳殻を唇で食むように口づけている。
──えっ、違い……?
なにと、なにの……って……?
先生が言っている意味も、その答えも、何も分からない。
私が「分からな、い、」と答えると、先生は私の耳元でクスクスと笑う。
「……っ、や、だ、せんせ、笑わない、でっ」
笑うと、先生の息が耳にかかって、くすぐったい……。