先生がいてくれるなら③【完】

入院する高峰さんの元に通うようになって少し経った頃のこと──。



「雑誌や小説でも買ってきましょうか? リクエストがあればお聞きしますけど」


とっても暇な入院生活を思い出した私は、彼女にそう提案したのだけれど……。


「……何もいらない」

「でも、毎日ベッドの上じゃ退屈じゃないですか?」

「……」


あ、やっぱり暇なんだ。


そうだよねぇ、私もすっごい退屈だったもん。


まぁ私の場合はたいした怪我じゃ無かったし『念のため』って言い張って譲ってくれない光貴先生と藤野教授に半ば強制的に入院させられてたようなものだから、今の高峰さんの状況とは違うわけだけれども。


高峰さんの場合、複数箇所を骨折してたから自分で自由に歩き回ることは出来ないし、リハビリだってまだ始めてないからすっごく退屈に違いないと思ったんだけど……この素っ気ない返事ですよ。


もっと素直に『暇だ』とアピールしてくれても良いんですけどねぇ?


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