先生がいてくれるなら③【完】
室内の電気は、さっき一瞬チラついた瞬間に自家発電に切り替わったようだ。
相変わらず雷鳴が地響きを伴って鳴り響いているが、俺は再び目の前の書類に目を落とした。
しかし公立高校ってのは、どうでもいい事務仕事が多くてイライラさせられる。
私立高校の場合、事務処理は専門の職員がやってくれる事の方が多いから、教師は生徒への指導に専念できるのだが……。
このまま公立高校で教鞭を執り続けるかどうか、迷ってしまう自分がいる。
かと言って、古巣に戻るわけにもいかないし……、と言うかそもそも、もう一度俺を雇い入れてくれるかどうかも定かではない。
はぁ、とため息を吐いて、窓の外へと目を向けた。
稲光はまだ時折ピカピカと光の筋を夜空に煌めかせていて、やや遠ざかりつつはあるけれど、雷鳴もまだゴロゴロと聞こえている。
完全に集中力が途切れてしまい、諦めて一度休憩を挟もうと窓際へと足を向けた。
普段は眼下に無数の明かりが灯っているが、今は辺り一面、真っ暗だ。
あぁ、そう言えばさっき停電したんだっけ──。
マンションに備え付けられている自家発電に切り替わったから、すっかり忘れていた。
──立花は、大丈夫かな。
あいつのことだから、懐中電灯の類いの停電の備えはしてるだろうけど……。
「一応、電話でもしてみるか」