先生がいてくれるなら③【完】
何の話か知らないが、とにかくさっさと話して、広夢にはさっさと帰ってもらいたい。
「それで?」
俺の部屋のリビングで、立花に話を促した。
「えっと……昨日、雷で停電したじゃないですか……」
俺の怒りのオーラを感じるのか、立花はビクビクしながら話を始める。
「先生が電話をくれた時にはどうしても言えない事情があったんですけど、あの、実はその時私、家にはいませんでした……」
「……はぁっ?」
自宅ではないとすると、じゃあ、どこにいた!?
問いただすと「ある人のお宅に……」と小さな声で答える立花。
既にイライラとムカムカが同時に湧き起こっている。
なんだ、誰の所にいた!?
「……あの、先に、説明して良いですか……?」
「ダメ。答えろ」
俺の問いにすぐには答えず泣きそうな顔をしている立花を見かねた広夢が、「まぁまぁ、ここは明莉さんの話を先に聞こうよ」と口を挟んだ。
「……広夢、お前は黙ってろ。口を挟むなら帰れ」
「明莉さんが『帰って良い』って言ったらね」
「……」
くそっ。
俺が広夢にはあまり強く言えないのを知ってて、広夢は強く出てくる。
「……分かった、じゃあ先に説明して」
俺がそう言うと、立花は少しおろおろしながらも、話し始めた──。