先生がいてくれるなら③【完】
聞けば、最寄り駅が同じ、つまり家がごく近所だと言うことだ。
俺の知らぬ間に深まっていた二人の関係が、俺に別れ話をしたあの日から始まっていたことを知り、息が止まりそうなほどの嫉妬心に駆られる。
英語の教科係である立花と、英語教師の細川……、準備室で出会うことも多いだろう。
高峰とのことさえ無ければ、別れることもなかった。
別れなければ、立花が細川と出会うこともなかったんじゃないか、と思ってしまう。
醜いドロドロとした嫉妬で、心がぐちゃぐちゃになっている。
俺との関係が細川にばれるのが怖くて嘘を吐いた、と言う立花の言い訳を、正面から受け止めることが出来ない。
何か細川とやましいことがあったからなんじゃないかと、思わず邪推してしまう汚い自分がいる。
「それと……」
「まだあるのか」
「はい、すみません……」
まだ聞かされなきゃならないのか。
ここまででも、既にうんざりしてるって言うのに……。
渋々聞けば、細川は広夢のことを立花の彼氏だと勘違いしているらしい。
それを仕向けたのが、当の広夢なのだから当然なのだが。