先生がいてくれるなら③【完】
……この人、モデルさんか何かかな。
ホストとかでも悪くないかも、間違いなくナンバーワンになれそう。
それぐらい、男の人なのにうらやましいほどの美貌だ。
──あの変な眼鏡をかけなければ。
あ……、あぁ、だから “変装” なのか、と今頃合点がいく。
確かにこれだけ格好良かったら、行く先々で女の人たちが放っておかないだろう。
「──あの、岩崎さんは、モデルさんか何かですか……?」
私はどうしても気になってそう尋ねてみると、「あはは、んなわけ無い無い」と言って両手をヒラヒラと振って笑っている。
いやいや、絶対その辺のモデルなんかより素敵なのに。
「じゃあ、何をされてる方なんですか?」
私の質問に岩崎さんはキョトンとして、そしてすぐにちょっとバツが悪そうに苦笑いをした。
「えーと、こう見えても、現代国語の教師です」
「えっ。先生、でしたか。──え、数学が得意なのに、現国、ですか?」
「うんまぁ、国語もちゃんと得意でしたよ~」
「あ、疑ってるわけじゃないです、ごめんなさい」
私がペコリと頭を下げて謝ると、岩崎さんは「いえいえ、大丈夫です」とにこやかに微笑む。