先生がいてくれるなら③【完】

悠斗の話では、先生の整った顔と美しいブルーグレーの虹彩に気付いた一部の女子が、『先生が顔を隠す理由を教えて下さい』と発言したらしい。


先生は『ばかばかしい。くだらないこと考えてないで、受験生なんだから勉強しなさい』と返して、その場ではそれで終わったらしいけど、女子の妄想は止まらないらしく。


『実は芸能活動してるんじゃないか』とか『モデルなんじゃないか』とか『夜はホストとして働いてるんじゃないか』なんて、妄想力たくましい憶測が飛び交う結果になっているのだそうだ……。


教師は副業禁止だから、そんなわけないのに。


女子って恐ろしい……、私も女子だから、分かるだけに……。



「今後、先生と外で会う時は気を付けた方が良いね」


市橋君の言葉に、私は「え、なんで?」と首を傾げた。


すると、私以外の全員が、「ダメだこりゃ」と言って、心底呆れた表情で私を見ている。


「顔がバレてるんだから、もう今までみたいに一緒に歩けないって事。校内の誰かに見られたら、学校に通報されるかも」

「えっ……」


うそ、どうしよう!?


そんな事になったら、きっと、先生はどこかに飛ばされるか、最悪の場合、クビ……。


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