先生がいてくれるなら③【完】

校長室には、校長先生を始め、教頭先生、生活指導の先生、あとなぜかうちのクラスの英語の教科担任である片瀬先生がいて、ますます私は『何かした……?』と、記憶の引き出しを勢いよく開け閉めするけど、全く心当たりがない。



──もしひとつあるとするなら、それは、藤野先生とのことだ。


そのことに思い至って、私は一気に血の気が引いた。




──ど、どうしよう……っ。




教頭先生に「座って下さい」と声を掛けられ、指定された場所に腰を下ろす。


何を聞かれるんだろう……。


もし藤野先生とのことを聞かれても、先生は関係ない、って答えよう……。


そして、申し訳ないけど、広夢さんの名前を出してしまうかも知れない……。


あぁ……、


あぁ、どうしよう……。



そんな風に頭の中で色んな防衛策を考えていると、「ここに呼ばれた理由に心当たりはありますか」と、教頭先生が私に尋ねた。


ドキドキしながらも、「いいえ、ありません」と、答える。


声が震えてしまったような気がする。


< 229 / 352 >

この作品をシェア

pagetop