先生がいてくれるなら③【完】
「去年の格好も可愛かったけど、今年もとても素敵な衣装だね。好きな人には見せに行ったの?」
唐突にそう問われ、私は思わず藤野先生の顔を思い浮かべてしまう。
そして、即座にブンブンと首を横に振った。
「えー、見せに行っておいでよ。せっかく素敵なのに」
「えっあっ、あの、でも、わ、別れちゃったので……」
「あらら残念。でも、その格好のまま近くをウロウロしておいでよ。きっとまた惚れ直されちゃうよ?」
そう言われて、私は思わず頬が熱くなる。
そんなはずない、先生が私に惚れ直すなんて事、もう絶対に……。
だけど、もしそんな事があったら嬉しいなって、まだ未練がましくも思ってしまう自分がいる。
でも──、あれ?
私、なんでこの人と “好きな人” の話なんてしてるんだろう?
──って思ったけど……