先生がいてくれるなら③【完】

恐らく細川先生にも同様の質問をしたのだろうと思うけど、当然の事ながら、それが私に知らされることはない。


でも、この一件以降、細川先生が私に対して声を掛けてくることもなくなった。


細川先生が何か処分を受けたと言う話も聞かないし、私に話しかけなくなったこと以外は今まで通りだから、きっとあの電話の告発は、校長先生たちによって “デマだった” と判断されたのだと思う。



もちろんこれらの全ては、その日のうちに藤野先生には報告してある。


「職員会議で『生徒との個人的な連絡や、過度な接触は厳禁』というお達しがあったから、何かあったと思った。お前と細川のこととは思わなかったけど」

「個人的な連絡と過度な接触は、厳禁ですよ、先生」


私がそう言うと、先生は「何のことか全然分かんない」と言って、私をぎゅーっと抱き締める。


「可愛いペットを愛でてるだけだし」

「わ、私はペットじゃないです……っ」

「……ん、そうだな、ペットじゃなくて、俺の可愛い恋人だった」

「……っ、」


最近の先生は、すぐにこう言うことを言うから、ほんと困る……。


甘すぎて……めまいを起こしそう。



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