先生がいてくれるなら③【完】

……男子は概ね、1学期通りだ。


日焼けしてるヤツは一人もおらず、室内で勉強三昧だった事を物語っている。


問題は……、そう、女子だ。


特に日焼けしてるヤツがいるわけではない、むしろ真っ白だ。


そもそも女子は日差しに敏感で、年中全身に日焼け止めを塗りたくっているから、あいつらそのうちビタミンD欠乏症にでもなるんじゃないのか?


……なんて、冗談は置いといて。


その女子たちの一部が、どうも落ち着かない雰囲気なのだ。



おいおい、まさか、“ひと夏の恋” とかで浮き足立ってるんじゃねーだろうな?


そう言うのは受験が終わってからにしろよ。



心の中で少し呆れながら、2学期初日を終えた──。




うちのクラスの女子たちの浮き足立っていた理由が分かったのは、その翌日のことだった。


あまりにもザワザワと不穏な空気を身に纏っているので、俺が諫めたのだ。


「受験生だって言う自覚をして欲しいんだけど」


俺がそう言うと、クラスの女子のリーダー的存在のやつが席に座ったまま発言した。


「受験生だって、気になるものは、気になります」


その発言に、頷いて同調する他の女子たち。


「……何が気になってる?」


俺の問いかけに、女子同士が目配せをし合い、やはりさっき発言したやつが口を開く。




「……先生の素顔、見えちゃったんですよね。先生が顔を隠す理由を教えて下さい」



< 241 / 352 >

この作品をシェア

pagetop